Shopifyテーマだけで、ブランドらしいサイトはつくれるのか
Shopifyでサイトを立ち上げようとしたとき、多くの方が同じところで立ち止まります。テーマをそのまま使えばいいのか、それとも手を加えたほうがいいのか。答えの出ない問いのようですが、実際には判断のヒントになる材料はいくつかあるような気がしています。
Shopifyの無料・有料テーマは、実際どのくらいの完成度なのか
まず前提として、Shopifyのテーマは無料・有料を問わず、公式の審査基準をクリアしたものだけがテーマストアに並んでいます。無料と有料の違いは、品質そのものというより、標準で持っている販促機能の量や、ブランドらしさを表現できる自由度の広さにある、という整理のほうが実態に近いのかもしれません。
つまり、「無料だから見劣りする」「有料だから安心」という単純な話ではなく、どちらを選んでも、ノーコードのままである程度おしゃれで機能的なサイトはつくれてしまいます。実際、私がこれまで見てきた案件でも、テーマをほとんど触らないまま公開して、それで十分に見栄えのするサイトになっているケースは少なくありません。
それでも「テーマのまま」で足りなくなる瞬間
ただ、すべての案件がテーマのままで完結するわけでもありません。以前、あるブランドのサイトを構築した際、最初は「有料テーマをそのまま使う」という前提で進んでいました。テーマ自体のデザインやレイアウトに、特に不満があったわけではありません。
ところが、ブランドガイドラインに沿って細部を詰めていく過程で、少しずつ「テーマの管理画面でできる範囲」を超える要望が出てきました。ここが、テーマのままで進めるか、コードに手を入れるかの分かれ目になったように思います。
外部フォントを読み込む、既存セクションを微調整する
最初に出てきたのは、比較的小さな調整でした。ブランドが指定するフォントを外部から読み込みたい、既存のセクションのレイアウトを、管理画面上の設定(スキーマ)でできる範囲を超えて微調整したい、といった要望です。
このあたりは、パッと見では「テーマの範囲内でできそうなこと」に見えるのですが、実際にはコード側に手を入れないと反映できないことがほとんどです。ここで一度、テーマを「そのまま使う」から「土台として使う」に前提が変わっていく感覚がありました。
セクション機能自体をカスタマイズする、新しいセクションをつくる
さらにこだわりが具体化していくと、既存のセクション機能そのものにカスタマイズを加えたり、テーマにはない新しいセクションを一から作成したりする必要が出てきます。この段階まで来ると、もうテーマの範囲内での調整というより、テーマを土台にした独自の設計に近くなっていきます。
正直なところ、この工程が必要かどうかは、案件が始まった時点では読み切れないことも多いです。最初は「テーマのままでいいと思います」という話だったのに、細部を詰めていくうちに、結果としてかなりの部分をカスタムすることになった、というのが実際の流れでした。
海外製テーマならではの「日本的な調整」という論点
もうひとつ、Shopifyを使う上で頭の片隅に置いておいたほうがいいと感じているのが、テーマの多くが海外で作られているという点です。主要な人気テーマは管理画面の日本語化には対応していることが多いのですが、それはあくまで管理画面の話であり、フロント側の見せ方や表現のニュアンスまで、日本の消費者向けに最適化されているとは限りません。
たとえば、余白の取り方や文字組み、注意書きの見せ方など、日本のECサイトに慣れたユーザーが違和感を持ちにくい表現に寄せていく作業は、テーマの標準機能だけでは完結しないことがあります。これも、コードでの調整が必要になる理由のひとつです。
テーマとカスタムの境界線をどう考えるか
ここまでの話をまとめると、Shopifyのテーマは、ノーコードのままでもかなり高品質なサイトをつくれる土台になっています。それは間違いなく事実だと思います。一方で、ブランドとしてのこだわりが具体的になっていくほど、テーマの標準機能だけでは表現しきれない部分が出てきて、結果としてコードでのカスタムが必要になっていく、という流れも同時にあるように感じています。
どちらが正しいという話ではなく、今そのブランドが「こだわりをどこまで言語化できているか」によって、テーマのままで十分なのか、カスタムに踏み込むべきなのかが変わってくるだけなのかもしれません。
「テーマのままか、こだわるか」は、ブランドの今の位置で変わる
今回のケースでは、フォントの読み込みから始まり、既存セクションの微調整、セクション機能自体のカスタマイズ、新規セクションの作成と、少しずつ手を入れる範囲が広がっていきました。
構築の難易度・工数は増えたものの、テーマをそのまま使ったサイトが持つ「よくある感じ」から、そのブランドらしさが出た特色のあるサイトになりました。
このケースがすべての案件に当てはまるとは思っていません。ブランドの方向性がまだ固まりきっていない段階であれば、まずはテーマをベースに運用しながら様子を見る、という選択のほうが合っていることもあるはずです。逆に、ブランドとしての表現に強いこだわりがある場合は、早い段階からテーマを土台にしたカスタムを前提に考えておいたほうが、遠回りにならずに済むのかもしれません。
大事なのは、「テーマか、カスタムか」を最初から二択で決め切ろうとしないことなのだと思います。今、自分たちのブランドがどのくらいの位置にいるのかを一度整理してみることが、結果的にはどちらを選ぶかよりも、判断の助けになる気がしています。
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